デュボワのパブリックエデュケーション活動

ついに登場した日本の"医療ツーリズム"論

2010年12月11日 日本歯科評論掲載

日本の医療情勢と中国の医療情勢の違い

現在、日本の医師数は不足しているが、逆に歯科医師数は過剰になっている。日本の医学・歯学教育は保険医の養成を目的とし、自由診療は法律的に認められているが、国の方針では実質的には認められていない。診療報酬も平等であり、個人の技術差は報酬に反映されない社会主義の立場に立つ。 一方、中国においては、医師や歯科医師はミシュランさながらに星によるランク付けがなされ、専門医はランクが上で、その報酬に大きな違いがある。一つ星の医師と四つ星の医師の報酬の差は、病院によっては1000倍を超えるという。どういうわけか中国の医療は資本主義そのものである。対して日本の医療は、中国の医療に比べるとどの病院にかかっても大きな違いはなく、その平均的医療水準も現段階ではまだ高いと言える。中国においては、既に日本より高度な医療水準にある医師や歯科医師も存在しているが、その数は現状ではまだ少なく、国民にとっての情報も少ない。 医師不足の渦中にある日本の医療にとって、マーケットを外国人にまで広げて産業化した自由診療型の医療ツーリズムを行うには、人材供給だけで20年以上の時間がかかるだろう。ならば、歯科医師過剰のし歯科医療であれば、その活路を見出しやすいかもしれない。しかし、"産業としての医療"と"福祉としての医療"は根本的に違うため、それを推し進めるためには、歯学教育をはじめ現在の政府の基本方針を根底から覆さなければならない。 さて、中国歯科医師免許を持つ北京在住の田中健一先生に、「中国の歯科医師の大半が日本の現状の医療水準に近づくのに何年かかるか」と尋ねると、「中国では急速な市場原理が働いているので、3年で日本の平均的な水準に達します」と返ってきた。中国人が、日本と同水準かそれを超える医療を中国国内で受けられるようになるまで、あと3年しかかからないということだ。日本の受け入れ準備はとても間に合わない。仮に間に合ったとしても、3年後には中国人患者の引き揚げ、中国人以外の外国人患者マーケット拡大の難航、あるいは政治的影響により、自由診療による医療ツーリズム経営の安定性は危ぶまれる。 シンガポールやバンコクには、日本でもお目にかかれないような外国人向けの素晴らしい病院が既に20年前からある。スイスやベルギー、アメリカにも、世界中から患者があつまる病院がある。ドイツでは"デザイナーズホスピタル"という、医療の概念が一新された病院が誕生している。世界の医療は問題を抱えつつも、もはや産業である。社会保障と産業とのバランスをいかに取るかが、質実ともに日本の医療が世界をリードする秘訣ではなかろうか。


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