デュボワのパブリックエデュケーション活動

"創造的歯科医療"時代の序幕

2012年1月1日 DENTAL DIAMOND掲載

〜新しい歯科医療概念の提案〜

 歯科医療を取り巻く環境は、よくも悪くもこの20年間で激変しました。更に、今後は価値観の変化を伴い、文明の変化という大きなうねりに私たちの環境も影響を受けることが余儀なくされると思われます。  私が大学を卒業したのは1984年です。その6年前、大学に入学したころは、歯科医師という職業はまだ花形で、入学と同時に社会的地位などあらゆる面で保証された存在だといわれたものでした。しかし、卒業するころには雲行きが怪しくなり始め、卒業式で「歯科界の現状は今が底だから、これ以上悪くなることはないから......」と励ましの祝辞を述べた当時の病院長のお言葉が、今も脳裏に焼きついて離れません。  その後、状況は年々悪化し続け、日本経済の低迷は歯科医業そのものに影響を及ぼし始めました。しかし、国民の価値観が我々より先に変化し始め、医療費にも消費という位置づけが定着し始めたことにも気づかされました。一般に、保険診療報酬だけでは歯科医院経営が難しいことから、その25%程度の自費診療報酬が加えれば平均的な安定経営ができると分析されていましたが、2010年はそれが20%を割り込むことになりました。これこそ、消費者であり、また患者でもある国民の意識、価値観の変化を物語っています。  今回の連載企画は、従来の王道であった歯科医療の概念が時代の変化とともにそぐわなくなってきていることを受け、歯科医療の本質的価値をもう一度模索し、読者の皆様と一緒に考えていくためのたたき台としてこれまでの経験を元に書き下ろしていく、いわば"新しい歯科医療概念の提案書"です。単に新しい歯科医療技術や歯科医療機器・材料を症例とともに紹介するのではなく、新しい歯科医療概念を匂わせる機材・薬剤開発コンセプトに裏付けられたアイテムを取り上げながら、医療の本質とは何か、コンセプトとは何か、患者の真に求める医療とは何か、またどうしたらそのような医療を提供し得るか、それぞれの答えが導き出されることになれば幸いです。

歯科医療概念の定義

 " 創造的歯科医療" という概念は、あまり見慣れない、また聞きなれないかと思います。"治す"あるいは"施す"という治療概念は、あくまでも"元の状態に回復する、あるいは戻す"ということです。つまり、健康な状態に戻す、痛みのない状態に戻す、元の形に戻すことを意味します。それらを歯科では"回復的歯科医療"という概念として括ると、現在の歯科医療の大半がこれに該当します。  それに対し、"創造的歯科医療"は歯科を越えてあらゆる医療を統合したり、和合したり、プロモートしたり、コーディネートしたりして、健康と美しさを保つという患者の未来をも包括して考察する医療に、空間的、時間的広がりをみせる概念です。なおかつ、現在ある回復的歯科医療をも包括してしまう総合歯科医療概念です。従って、その中身の問題というより、中身の組み合わせ方や組み合わせる順序に重きをおくことにより、あらゆる相乗効果を期待できる可能性があるのです。

繰り返される回復的歯科医療

 私たちは長い間、疾患のなかでも高罹患率のう蝕、そしてギネスにも登録された世界で最も罹患率の高い歯周病と向き合ってきました。特に20世紀に入ってからの近代西洋歯科医学の発展は、苦痛を取り除くための口腔外科に始まり、保存、修復、補綴といった人工物による機能回復を施す医療へと進化してきました。更に、幼児期の早期治療の見地から、小児歯科の専門性、咬合誘導や不正咬合の治療の見地から矯正歯科へと分岐し、追随するように各科も専門的攻究の結果、専門医あるいは認定医としての専門的歯科医療の道が拓かれていきました。  しかし、これらの学術的、あるいは技術的発展は、疾患によって侵された状態からの回復的歯科医療の域を脱することはありませんでした。また、あらゆる分野において露呈している専門化の弊害ともいえる包括的、あるいは学際的アプローチの欠如により、多くの患者は疾患スパイラルから抜け出せず、生涯にわたって修復や補綴といった従来の回復的歯科治療が繰り返されています。つまり、18世紀から歯科医療概念は全く変わっていないのです。


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