デュボワのパブリックエデュケーション活動

"創造的歯科医療"時代の序幕

2012年1月1日 DENTAL DIAMOND掲載

創造的歯科医療へのパラダイムシフト

 一方、20世紀末にはようやくう蝕や歯周病の病原菌とその作用機序が次々解明され始め、歯科医学は各疾患からの本格的な予防が可能となるまでに発展してきました。時期を同じくして、専門化の弊害に対してようやく学際的アプローチの重要性が見直され始め、臨床的にも予防と治療が同時に患者へと提供できるに至り、ヘルスケア、あるいはヘルスプロモーションという新しい概念の歯科医療が確立されてきました。  これにより、単なる口腔内の部分的回復から学際的回復という空間軸へと広がったことに加え、予防やヘルスケア、あるいはヘルスプロモーションといった時間軸が加わった歯科医療概念が生まれたのです。つまり、これまでの苦痛からの解放、機能的回復といった医療満足度にQOL(Quality of Life)という新しい満足度が加わり、患者個々のニーズに対応していく時代へとシフトしつつあるのです。患者の現状を専門的学識によって1歯単位から1口腔単位に、そして全身に至る空間的広がりという創造性、更に再発防止やカリエスフリーの達成、ついには審美的持続性、抗加齢的ニーズを満たす長期的視野に立った時間軸を伴う診断と治療計画により、時間的な広がりという創造性を併せもった概念、すなわち創造的歯科医療概念への移行の時期にさしかかっているのです。

マイナーチェンジを繰り返す保険医療制度

 こうした歯科医療の新しい概念の普及には、当然時間がかかります。現行の保険医療制度は、昭和30年代の口腔衛生状態を鑑み、当時の歯科医師不足などの社会的背景が制度に反映されています。ですから、一刻も早い国民の口腔衛生状態改善と口腔の機能的回復を最優先させた歯科医療概念を元に、制度化された保険医療制度に則って提供される公共事業的歯科医療です。また、当時の日本経済や社会情勢を元に保険点数が評価され、以後定期的に時勢に合わせて改定されながら、国民皆保険制度でもあるために、個々の医業経営は完全に保険制度に乗っかる形になりました。  歯科では、差額徴収時代などの変遷の末、現在の一部混合診療を認めたかのような形に至っています。また、歯科医師人口の増加に伴い、現在では保険収入に対し25%の自費収入が保険収入に加わって初めて歯科医業の平均的な安定経営に繫がるといわれています。

臨床的普及の障壁と変化

 一方、1984年から実施されてきた中学1年生の平均う蝕罹患率の調査では、当初4.75本だったのが2009年には1.4本と、実に1/3に減少しています(厚生労働省)。これは口腔疾患に取り組んできた歯科医師の勝利であり、誇るべきことです。  また、低迷する日本のGDP は2010年、ついに中国に抜かれて世界第3位に後退し、日本の長引く景気低迷の影響により、自費率の平均が20%を割り込む可能性が取り沙汰されています。個々の医業経営は、当然イノベーションを迫られることになります。しかし、保険診療報酬は公共事業による税金からの受益的性格をもち、福祉政策という社会主義的保護の下に経営の母体をおいてきたために、経営変革が容易にはできないという医業経営的側面も、歯科界が抱える大きな問題です。こうした社会的、経済的、そして歴史的背景が、新しい歯科医療概念の臨床的普及の障壁にもなっています。  このように、歯科医学の発展とそれに伴って歯科医療機器や薬剤、材料が進歩する一方で、医療制度そのものが新しい歯科医療概念にそぐわなくなってきている問題、歯科医師をはじめとする歯科技工士や歯科衛生士等の人口と、その年齢別分布のバランス問題、日本の経済問題など、歯科医師個人の力ではどうにもならない問題がたくさんあるために、何から手をつけてよいかもわからないのが現況といえるのではないでしょうか。  しかし、患者の意識も一部の歯科医師の意識も確実に変わりつつあります。臨床では、少数派である一部の先頭集団と、現状の歯科医療に従事する多数派の集団との間には、約15年の時差がつきまとうといわれています。  20年前に"審美歯科の概念"が打ち立てられたときも、当時の多くの歯科医師はその概念を理解できず、反医療的行為と誹謗する者まで出る始末でした。患者に至っては、「審美」という言葉すら聞いたことがないという状態でした。ところが、15年も経てば、看板やHP でご覧のとおり、「審美歯科」を標榜していないクリニックは皆無に近いところまで浸透してきました。


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